「警備員」と「守衛」はいずれも「護る仕事」であることが共通していますが、実はさまざまな違いがあります。警備員と守衛にはどのような違いがあるのか、それぞれの役割や仕事内容、法律的規制の有無などについて見ていきましょう。
「守衛」とは設備の警護を業務とする人のことです。学校やビルの入り口に立って施設に入る人のチェックや受付をしたり、施設内の巡回により不正侵入者の排除や盗難の予防を行ったりすることが業務内容となります。つまり雑踏警備や交通誘導、身辺警備、輸送警備など、施設以外の警備も行う警備員とは護るべき対象が違う職種です。
それでは警備員と守衛との違いについてさまざまなポイントから解説します。
警備員と守衛の大きな違いとして、雇用主が違うことがあげられます。警備員は警備会社に雇われますが、守衛は警護業務を担当する施設の管理者に直接雇われます。つまり警備員は警備会社から派遣されて対象の警備を行いますが、守衛は対象の施設に雇われたスタッフとして警護の仕事を行うということです。
「守衛が必要だから専門の業者に依頼する」ということはありません。もし警備会社から派遣された警備員が施設の入り口で警護を行ったとしても、それは守衛ではなく警備員ということになります。
警備員と守衛は仕事が似ていますが、法律的規制を受けているかどうかの違いがあります。警備員は警備業法により規制を受けていますが、守衛は護るべき施設から直接雇用されるため警備業法による規制を受けません。守衛は施設から直接雇用されるスタッフであり、社内の業務として「警護」を任せられているため警備業法が適用されない仕事です。
そのため守衛には、警備員に課せられるような義務やルールは存在しません。制服や持ち物が警備業法に沿っていなくても業務にあたることができ、また欠格事由に該当していたとしても守衛になることはできます。極端な例をあげると、私服やスーツを着ていても守衛の仕事をすることは可能です。
警備員には研修を受ける義務があります。しかし守衛には研修義務がないことも大きな違いです。警備員の研修義務は警備業法により定められているため、法律の制限を受けない守衛が研修を受ける必要はありません。もちろん雇用される施設の研修を受けることはあるでしょうが、法律により研修が義務付けられる警備員とは違います。
警備員と守衛の違いを仕事内容から考えると、警護対象が大きな違いとなります。警備員は施設警備はもちろん、機械警備や雑踏警備、交通誘導、運搬警備、身辺警備などさまざまなものの警備を専門とする仕事です。しかし守衛の仕事では、交通誘導や運搬警備などは基本的に行われません。
守衛が護るべきは施設です。施設内で必要だとされた場合、例外的に1人のスタッフとして車の誘導などを行うことがあるかもしれませんが、雇用先である施設外でその他の警備業務に携わることはないことが警備員の仕事との違いです。