警備員にも研修は普通にあります。むしろ普通よりちょっと多めにあるかも知れません。なぜ研修があるのか、そして具体的にはどんなことを学ぶのか、今回はその辺りを解説します。
警備員として採用されても、仕事を始めるためにはまず研修を受けないとなりません。これは「警備業法」という法律で決まってて、研修を受ける時期にも、研修期間にも、研修の内容にも細かくルールが設けられています。
いざときに施設や人の安全を守るためにも、自分の身を守るためにも知識やスキルは必要だからです。
警備員や警察として働いていた経験がある人や、警備に関係のある資格を持ってる人は研修が免除になったり、研修の時間が短くなったりすることもあります。ですが未経験者は全員きっちり受けなければなりません。アルバイトも短期でも警備員として働くのでしたら全員受けます。
はじめて警備の仕事に就くときに受けるのが、新任研修です。基本教育と業務別教育とがあり、それぞれ座学と実技で構成されています。採用された警備会社や講習センタで、3~4日くらいの期間をかけてすることが多いです。ここからは研修の詳しい内容について解説します。
基本教育というのは、警備員として最低限必要なことを学ぶ研修のことです。大声を出す訓練などもします。
研修の具体的な内容はこのような感じです。
基本原則や法律の部分は、テキストやDVDを使った座学で勉強します。仕事の内容に直結する部分も多いです。4と5は実技です。実践編ですので、こちらは詳しく紹介します。
研修では、消火設備の使い方やケガ人・病人への応急措置の方法、通報の手順等について勉強します。
消火設備では、消火器以外に「屋内消火栓」の使い方も教えられます。初期消火は火事の被害の大きさに直結する大事なスキルですので、いざという時のため、しっかりと身に付ける必要があります。
応急措置では、心肺蘇生のやり方やAEDの使い方、ケガ人への応急手当の方法等を学びます。警備員は傷病人の第一発見者になることも多いですので、これもしっかりと身に付けなければなりません。
身を守るための武器の使い方とか、武器を使って相手を抑える=捕縛するための方法を学びます。武器は警戒杖とか警棒、それと「さすまた」です。凶器を持ってる相手を安全に抑え込むための方法とか、過剰防衛にならないための注意点なども勉強します。
道具を持っていない時でも身を守るための基本的な護身術も学びます。武道の心得のあるなし、体力のあるなし、関係はありません、身に付けることをしっかりと身に付ける、ということです。
やはりこちらの研修は、内容が内容だけにどうしてもハードにはなってきます。指導員も厳しいでしょうが、絶対必要なスキルだということは理解しておきましょう。 もちろん、凶器を持った不審者が来ることなどそうそうありませんが、警備員になる以上、対峙する可能性はあるわけです。自分の命を守るためにもがんばりましょう、自信もつきます。
業務別教育では、実際の警備業務に関係ある内容について学びます。施設の警備なのか、交通誘導なのか、貴重品運搬の警備なのか、身辺警備とか機械警備なのか、分野によって気を付けるポイントが変わってくるからです。基本教育より、もっと踏み込んだ内容について勉強できます。実際の仕事現場で、実地教育という形で仕事をしながら勉強することもあります。
例えば施設警備でしたら、人や車の出入り管理についてとか、施設に備え付けられてる警報装置などの機器について教えてもらいます。もちろん、不審者・不審物を見つけたときの対処方法もです。
これが施設警備ではなく雑踏警備(お祭りとかイベントとか、混雑してる場所での警備のこと)ですと、「歩行者や車の整理・誘導方法」とか「それでも事故が起きた時どうすればいいか」とか、勉強する内容が変わってきます。20年くらい前に、明石の花火大会で将棋倒し事故が起きたことを知ってる方もいるでしょう?ああいう悲惨な事故を起こさないために、警備員が頑張る必要があります。
現任研修とは、警備員の仕事に就いてから定期的に受けなければならない研修のことです。半年に1回のペースで、基本教育と業務別教育の両方をおさらいします。法律が変わったり配属先が変わったりした時は、その時々で新しい知識も学んでくことになります。 知識の再確認とかアップデートとか、そういったことを通して仕事の質を上げていきます。いざというとき対策がしっかりとれるか、ということはとても大切です。
警備員は人の命に関わる仕事ですので、他人はもちろん自分を守るためにも研修は必須です。仕事以外の場面でも知っておくと役に立つスキルが多いです。応急処置はともかく、護身術のスキルなどは発揮しないで済むに越したことはりませんが、万が一のためには学んでおく必要があります。